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hagacube
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このブログでは、劇場公開時に観た映画、DVD、オンデマンド動画などの映像作品を中心に、音楽の新譜/旧譜、スポーツなどエンターテインメント全般について、複数ライターが極私的な見解を書いています。
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Animal Collective:Centipede Hz

(文責)S John

メジャーな音楽シーンでも一定の評価を得た「Merriweather Post Pavilion」より3年。USインディーの雄「Animal Collective」の新譜「Centipide Hz」がリリースされた。

直訳すると「動物の集団」となるこのバンドの歴史は、動物の集団がどれくらい人里に近づいてきたか、と言うことに尽きると思う。初期作品から「Here Comes the Indian」までは完全に人跡未踏のジャングルを縦横無尽に暴れまわっていたので、先鋭的で自由な「音」は評価されていたのだが、基本的にはカルトなアンビエントサウンドとされていた。その後「Sung Tongs」「feels」「Strawberry Jam」とアルバムを経るごとにだんだんポップにわかりやすい旋律を備えるようになってきて、「Merriweather Post Pavilion」ではついに人里にたどりつき、人々の評価を得ることとなった(ちなみにその次に出た「Fall be kind EP」ではそのさらに先を目指していたようだ)。

とは言え、彼らは結局「Animal」なので、やはりジャングルに生きてこそで新譜の評判を最初にきいた時には「原点回帰!」みたいなことが書いてあったものだから、また「Here Comes the Indian」以前のジャングルライフに戻ったのかと思ったが、実際は「Strawberry Jam」くらいしか戻っていなかった。電子音の柔らかい音使いから、トライバルな生音中心に戻ったが、ポップスとしての完成度は変わらず。あのアンビエントなジャングルへの帰り道はまだまだ長く果てしないものになりそうだ。

曲のレビューとしては1曲めからひたすらくり返しを多用した「Strawberry Jam」風味のポップスが続き、中盤からはだんだん硬質な曲が増え「Merriweather Post Pavilion」を通過した後のサウンドであることが窺える。個人的にはエスニック色の強いラスト3曲がお気に入り。最後の1曲はいつも祝祭的な曲なのだが、前アルバムの「Brothersport」には及ばないまでもシャウトの気持ち良い曲に仕上がっている。

とりあえず程良い壊れ具合が心地よい今回のアルバム、前のアルバム以上に洗練されることがなくてある意味ホッとしたが、もう少しぶっ壊れてもいいかなと、そう「feels」くらいに。




テーマ:今聞いてるオススメの洋楽は?

評価:
Animal Collective
Domino
¥ 856
(2012-09-04)


悪の教典

悪の教典

学校内で大量殺戮を行うスプラッター作品。原作も人気だし、映画の前評判も高かったが、実に見応えのある面白い作品に仕上がった。

サイコパス絡みの作品というのは外国作品を中心にスプラッター / ホラーの定番でもあるのだが、学校内で生徒達が一方的に次々と殺されていくハードな描写は、現代の邦画の表現限界のなかでは喝采ものだ。こういうボーダーラインの絶妙な超え方はさすが三池崇史監督だ。

サイコパスというのは自分に利することだけが行動原理であり、その利己的な思いを満たすことがすべてに優先する、というもの。他人に対する共感力がそもそも欠如しているらしく、目的遂行に際して良心の呵責などがない。だからといってその病質を持つ誰もが殺人を犯すわけでもないのだが、”身近にいてもわからない異常人格者”という怖さはある。

その怖さを主演の伊藤英明は見事に演じている。前半部分では伊藤英明のパブリックイメージも幸いして、蓮実聖司というモンスターの異常性が自然にクローズアップされていく。そして蓮実がゾーンに入ったときの瞳孔の開きっぷりなどを含めて、後半はこれまでのイメージを打ち破る演技力を見せる。

『海猿』のイメージが強すぎて平凡な青春スターという評価止まりだった伊藤英明の役者としての価値が、本作で上方修正されたと思う。作品選びも抜群にうまいので、よっぽど良いプロデューサーがついているのか、本人のスキルが世間の認識より桁外れなのか、いずれにしても今後が楽しみな役者となった。

出演者は豪華の一言。生徒役は『ヒミズ』のベネツィア受賞コンビ染谷将太&二階堂ふみを中心に、『桐島、部活やめるってよ』の浅香航大&松岡茉優、『バッテリー』の林遣都、ダルビッシュの弟KENTAやFlowerの水野絵梨奈まで、めぼしい若手俳優全部集めました的なキャスティング。

山田孝之や平岳大といったド変態役者に加えて吹越満や山中崇まで出てるとなると、個人的には園子温に撮ってもらいたかった、という気にもなるが…。

物語はストレートで、この手の映画作品としては凡庸でもあるのだが、なんのフックもなく逮捕されてしまうラストシーンを、「続く!」という印象的な結末が救っている。サイコパスものとして喧伝されているが、実は人格の転移を含めてオカルト的な作品だ。似たようなTVドラマもあったが、全体的にはこれはこれで十分個性的だし説得力もある。

それにしても、映画化不可能とまで言われた長い原作をコンパクトにまとめたうえで、これだけ大人数の役者を自在に操って破綻のない作品を撮り上げた三池崇史監督の手腕には脱帽だ。エンターテインメント作品としては極上の部類だと思う。感動とか深みとかあるかどうかは別にして、とにかく面白い!

<Raiting>
邦画レベルとしては満点の出来といってもいいのだが、個人的には映像的に新鮮味がなかった点が惜しまれる。ショットガンの銃撃音などサウンド的には工夫もあったが、題材的にはもっとブチ切れた斬新な映像が観たかった。三池監督にはそれが出来るはずだという期待もあった分だけ1ポイント減点。


<Trailer>


あー
テーマ:映画館で観た映画
悪の教典@ぴあ映画生活


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